令和4年度新潟県視覚障害者情報センター 事業推進懇談会 記録 1 日時 令和4年11月18日(金曜日)13時30分から15時35分 2 場所 新潟ふれ愛プラザ研修室(新潟市江南区亀田向陽1-9-1) 3 出席者 構成員 (1) 利用者  新潟県視覚障害者福祉協会   会員 関川 美咲枝 新潟県中途視覚障害者連絡会  会員 板垣 稔(欠席) 新潟県視覚障害者友好協議会  会員 石田 浩子 ロービジョン者          髙橋 泰子  (2) 関係機関 新潟県立図書館副館長   有本 教子 新潟県立新潟よつば学園教頭    横田 大輔 NPO法人障害者自立支援センターオアシス代表 小島 紀代子(欠席) (3) 行政機関 新潟県福祉保健部 障害福祉課 施設管理係長 小林 拓 (4) ボランティア 点訳ボランティア  佐藤 裕子  音声訳ボランティア 丸山 昭生 事務局 新潟県視覚障害者福祉協会 理事長 木村 弘美 副理事長 栗川 治 事務局長 関川 憲司 新潟県視覚障害者情報センター 所長 斎藤 義樹(欠席) 次長 山口 史明 主査 石原 優芽乃 4 事業推進懇談会の趣旨等、構成員の紹介、自己紹介 5 挨拶 木村理事長、栗川副理事長 6 進め方、資料の確認 7 新潟県視覚障害者情報センターの取り組み 8 重点事項に関する討議事項(説明) 討議事項1 読書バリアフリー法の取り組みに関すること  ア 情報機器の相談・習得支援  イ 公立図書館等との連携等 討議事項2 情報提供の内容や体制の充実に関すること 9 報告事項 令和3年度事業実績概要と令和4年度事業概要 ※以下、当日の討議内容を要約の上、記載 重点事項に関する討議事項 討議事項1 読書バリアフリー法の取り組みに関すること ア 情報機器の相談・習得支援について 《録音図書再生機の直近の動向に関する質問》 (視障協・関川)直近発表のあった携帯型のデイジー図書再生機・リンクポケットの製造中止に関して、代わりになる機器があるのか、  これについて情報センターから情報提供を予定しているのか知りたい。 (事務局・山口)製造元メーカーのシナノケンシによると、開発当時から時間が経過したことで通信環境が変わったこと、  それにより通信速度が遅くなったことや、スマートフォンで同様の機能が代替できるようになったこと等を理由に撤退する模様。  代替手段の例としては、iPhoneに限定されるが「ボイスオブデイジー」というデイジーデータを再生できるアプリがある。  その他、「よむべえスマイル」といった読み上げ機能付きの拡大読書器でもデータの再生は可能。  デジタル関連機器の情報は日々更新されていくため、支援者側でも追随・紹介しきれていない部分も多い。  ただし、センターからの情報提供として最新の機器情報を提供してゆくことは重要と認識もしている。  積極的にアンテナを張り、メーリングリストや各種情報提供媒体で情報提供していければと考える。 《日常生活用具のセンターでの保有状況に関する質問》 (視障協・関川)日常生活用具や最新の情報機器について、情報センターで展示等をされているようだが、現在はどのような機器があって、実際に使うことが可能な状況であるのか知りたい。 (事務局・山口)例として、過去には眼鏡型のデジタルデバイス・オーカムマイアイの受け入れをおこなった際に情報提供をおこなった事例等はあったが、  そもそも今現在どういうものをセンターで保有しているのかの情報提供は近年の中では実施できていなかったように思う。今後は定期的な情報提供について検討していきたい。 《各種支援の地域格差解消の要望》 (利用者・髙橋)支援の拠点が複数ある新潟市内に住んでいる人は良いが、地方に住んでいる利用者も、電話等のみでなく実際に対面で色々教えてもらえるようになれば良いと思う。  地域格差が無くなることを切に願う。 (事務局・山口)視覚障害者のリハビリテーション支援については全国的にも地域格差がある状況。本来であればどこにいても物理的に同じ支援が受けられるようになるべき。  現在の人員体制等も考慮する必要はあるが、情報センターでもこういったリハビリテーション支援の側面でどこまで何ができるかは検討していく必要があると感じた。 《機器支援に関する情報共有および要望》 (利用者・髙橋)デイジー図書再生機など視覚障害者向けの機器は高額。  自治体の日常生活用具補助を使わなくても一般のCDデッキのようなもので代替可能なのであれば、そのような情報も流していただきたいと思う。 (事務局・山口)福祉向けの製品でない一般向け汎用製品で解決できる問題があることについては、職員側でも広い視点を持って情報収集し、それを発信していきたい。 (事務局・栗川)このように視覚障害当事者だからこそ気づいている部分については、利用者側からもセンター側にも情報提供していただくと大変ありがたい。 (事務局・関川)組織として今後の職員体制については、2023年4月よりもう1名、訪問支援に出られる職員が確保できる予定である。 イ 公立図書館等との連携等について 《県内公立図書館向けの研修会実施(継続)についての要望》 (県立図書館・有本副館長)令和2年度に県立図書館のスタッフが実際に情報センターから視覚障害者対応に関する研修を受け、  3年度から県内4か所の公立図書館に対して情報センターと一緒に基礎編の研修を進めてきた。  今年度は受講者の開催後アンケートの要望に応える形で、実践編としてステップアップ研修を実施した。  また受講館以外の図書館からも受けたいとの話が出てきたことからオンライン型の基礎編研修を実施した。  利用者の方への還元については、実務担当者と提案や情報共有をしていきたい。連携の取り組みについては引き続き来年度もお願いしたい。 (事務局・石原)情報センター側としてもぜひ継続していきたいと考えている。  県内図書館とネットワークをお持ちの県立図書館に入っていただいたことで公共図書館のニーズ把握の面でも研修がより実のあるものとなった。  今後の展開についてはまたこの後相談させていただきたい。 (県立図書館・有本副館長)県立図書館の役割の一つの軸は市町村図書館支援。そこはうまく情報センターとの連携に合致する部分だと思う。 討議事項2 情報提供の内容や体制の充実に関すること 《新潟よつば学園における取り組み状況の共有と支援者育成に関する質問》 (よつば学園・横田教頭)学校の視覚障害のある生徒以外に卒業生からも生活相談を受けることがあり、情報センターを紹介した事例があった。  今後もともに手を取り合っていきたいと考えている。学校では生徒1人1人にタブレットが配布され、障害特性に応じたアプリの充実、職員側の教える能力の充実が課題となっている。  情報収集に必要な力、これからの世の中を生きていくために自分で情報を得てゆく能力を卒業までにつけてもらうことが必要。  課題として、ボランティア等の支援の人材が集まりにくい状況の中、人材の裾野が広がっていない。次の支援の担い手として若い世代へノウハウ等を残すための取り組みは何か実施しておられるか知りたい。 (事務局・栗川)以前、県内高校のボランティア部の活動の一環として、春夏の講習会という形で県視障協にて一日体験をおこない、視覚障害者サポーターを認定した事例があった。  今後も高校生などにそのような取り組みが計画的に実施されていくことが望ましく、当協会としても課題。他にもボランティアの減少、高齢化が進み音声訳・点訳の担い手がいなくなることも懸念。  これについては労働として対価が支払われる手話通訳者やガイドヘルパーのような専門職として成立させることも視野に入れるべきと考える。 (事務局・石原)直近の事例になるが、視覚に障害のある学生が県内の大学に1人入学し、当センターでも教科書のテキストデータ化を行った。  大学側としてもテキストデータを作れる学生ボランティアを育てたいとの意向があり当センターに研修会の実施を打診されている。  こういった事例を活かしてモデルケースを作りながら、若年層への視覚障害支援の普及啓発も進めていければと考えている。 《点訳ボランティアの現状をふまえた要望》 (点訳ボラ・佐藤)点訳について非常に将来を危惧している。墨字を点字に変換するには人材のみならずPC物品が必要なほか、印刷には点字プリンターが必要。  新潟市では点字プリンターを所有しており、各市町村も同様に管理されているものと思っていたが、管理はボランティア団体がおこなっているケースもある。  プリンター1台は100万円と高額なため、不具合があって故障した場合、修理代がかかると少人数のボランティア団体ではまかなうことができず、助成金等を活用して持ちこたえてきたが限界に近い状況もある。  点字データを製作し提供するだけであればPCがあればできるが、各地域で提供している市報、選挙公報、JR時刻表、ゴミカレンダー等は点字プリンターが必須。  読書バリアフリー法、新しいアクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が施行され、必要な機器を整備するための法令も整備されたので、こういった点について行政の方からも手を差し伸べてもらいたい。  デジタル化が進んでいること、年々点字ユーザーが減っていることは認識しているが、点字用紙での配布がまだ当面は必要。  点訳作業自体はボランティアの役割だが、金銭面での対策や整備に関しては自治体にぜひ対応をお願いしたいところ。 (事務局・関川)福祉関係施策は、原則、国と自治体の責任で施設整備を行うべきこと。行政の方で財政当局から予算を獲得し対応計画を立ててもらいたいと考える。また協会のほうからも要望していく。 《点訳・音声訳の図書の製作、ボランティアの育成に関する要望》 (障害福祉課・小林係長)センターは条例の中で点訳・音声訳の図書の製作、ボランティアの育成に取り組むことになっている。  デジタル関係といった新しい取り組みもあるが、一方でボランティアの育成も大事で、令和4年2月県会において県議より「ボランティアがないがしろにされている。」との質問があり、  知事からも条例に規定し重要な部分であると答弁したところである。情報センターとして晴眼者の理解を増やして行くことが重要な使命であることとし、取り組みを実施していることは非常にありがたいが、  点訳・音声訳の部分もセンターの事業として改めて取り組む必要がある。また県視障協としては、社会福祉法人として公益事業として何かできるか? (事務局・関川)自治体から委託される印刷事業があるが受注が激減している。  やれることはやってきたが、地域間格差を無くす等の観点から、県から予算をいただけない部分は人件費を足し前してスタッフを増やしてやってきている。頼られても台所事情が厳しい状況にある。 《音声訳ボランティアの現状、研修充実の要望》 (音声訳ボラ・丸山)公立図書館との連携の中にボランティア団体も取り込んで図書館の活動ができるようにしてもらいたい。  上越では市立図書館の中に音声訳や読み聞かせ、紙芝居の団体が共通で利用できる部屋がある。会議等も使用できているので、このような支援が普及して行くようお願いしたい。  また音声訳の継続に関しては、機械音声も年々聞きやすくはなっており、今後、文字を普通に読む場合の音声訳ボランティアの価値は薄れていくかもしれない。  しかし、図表の読みといった視覚的な部分の音声訳技術はまだまだボランティアでしかできない。  センターが実施する講座で音声訳のエキスパートを育てることも大切だが、各地域で初任者研修のようなものを行ってもらい地域の底上げを行ってもらうことが大事と思う。  活字情報を音声で視覚障害者に伝えていく基本的な技術を講習の中で引き継ぎつつ、ボランティア団体を支える事業についても多く実施してもらえると助かる。 (事務局・木村)各地域に公立図書館があり、そこでボランティアと視覚障害者が地域でつながっている。こういった方々に視覚障害者への応援者、支援者として引き続き尽力願いたいと考えている。  各地域での取り組みの話も本日色々と出ているが、併せて検討して行きたい。 《情報提供に関する要望》 (視友協・石田)情報センターの広報に関して、視友協の会員でも情報センターの施設だよりやメール配信を利用している人がいるが、そうでない人もいる。  視友協では機関誌を年4回出しているが、情報をいただければ掲載し会員に情報提供できるので、そういった形でも広報は可能と感じた。  また先ほどの音声訳・点訳の話に関しては、現在はスマホで写真を撮れば読み上げてくれるアプリもあるが、ちゃんと正確には読んではくれない。今後もしっかり音声訳事業をしてもらえればと思う。  また私自身は点字データも使えるが、今日のように点字用紙にしてもらえれば資料を見ながら確かめることができる。点訳や音声訳がなくならないようにしていただきたいと思う。 (事務局・石原)広報のお話で出た施設だよりについては、今までは当センターが情報収集して発信する情報提供がメインだったが、今後は関係団体からの情報も掲載していきたい。  県内の視覚障害者向けに有益な情報があればぜひ情報を届ける媒体として活用してもらえればと思う。ぜひ情報をお寄せいただきたい。  また視友協の機関紙においても、もし機会をいただけるのであれば、当センターの紹介の掲載を掲載いただきたい。 《電子図書の普及や公共図書館サービスへの要望》 (視障協・関川)燕市立図書館では電子図書を扱うようになって、当初は音声の電子図書は無かったが、少しずつ増やしていると聞いた。  その際、燕市立図書館の司書のほうでも地元の音訳団体や情報センターで対面朗読を実施していること等を把握されていないようだったので情報共有したところだった。  またその他に司書から「何か要望がありますか」と聞かれ、「小さな音声訳として取扱説明書や薬の説明やレシート音声訳をして欲しい」とお願いしたところ。  冒頭の電子図書についてはデイジー図書を音声で読めるようになっていたが、自分のPCでは使えず、検索サイトも燕市立図書館のものが使っているものでは同じく使えなかった。  視覚障害者が使えるソフト等についての情報が公立図書館には伝わっていないと実感した。せっかくのサービスで利用したいと思うので、そういった面でもセンターから公立図書館に働きかけができないか。 (事務局・石原)お話に出た電子図書のように、公立図書館でも様々な障害者向けサービスを行っているが、視覚障害者にそのサービスに関する情報は届けにくいといわれている。  そこで連携の一環として、センターだより等で視覚障害者が使える各公共図書館サービスの紹介をやれたら良いと思う。  またそういったつながりができれば、公立図書館で視覚障害者にも利用できるサービスを導入する際に当センターに相談していただける流れにも繋がるのではないかという思いもある。  連携を深めて、県内の視覚障害者の方に届けられるサービスを現状に即したものにしていければと思っている。 (県立図書館・有本副館長)県立図書館も電子図書導入に向けて検討していきたいと考えている。  導入に向け調査したところ、電子書籍に関してはいろんなベンダーがあり、視覚障害者がストレスなく使える状況に規格が追い付いていない現状も見えてきた。  サービスの案内にしても県立図書館のホームページの案内にたどり着くまでは、ブラウザの種類やボタン操作の方法などたくさんのバリアーがある。  そういった課題もあるため、まずはベンダーや電子図書を作る出版社の方にも図書館の利用者の視覚障害者の声を届けてゆきたい。  そのように県立図書館でも導入に向けて検討を進めている段階のため、また適宜情報提供させていただきたい。 (以上、開催事務局とりまとめ)